インターンを始めたきっかけ
大学では、マーケティング、経済学、経営学、金融・ファイナンス、会計と、商・経済系の科目をひととおり勉強しました。その中で一番成績が良かったのが会計でした。「これなら専門職として生きていけるかもしれない」と思っていたところで、会計事務所のインターン求人を見つけ、大学3年生のときに地元の会計事務所にインターンとして応募しました。
もうひとつの理由は、スーパーやコンビニでのアルバイトを経験して、消費者と直接接する仕事よりも、企業を相手にするBtoBの仕事に就きたいと思ったことです。会計業界で生きていく前提で就活をしよう、そのための一歩としてのインターンでした。
インターンでやったこと
記帳業務を中心に、お客さんのところに定期的に伺う巡回監査などもやらせてもらいました。税務調査こそ経験しませんでしたが、学生のうちに幅広い仕事をやらせてもらえたと思います。
通っていたのは週3日、1日3時間ほどです。正直、インターン生の中では短いほうだったと思います。ただし、巡回監査で遠くのお客さんのところへ行く日は別です。車で片道2時間かかるお客さんもいて、そういう日は1日8時間ほどになりました。
最初に驚いたこと
一番驚いたのは、簿記の勉強と実務とで、与えられる情報がまったく違うことでした。簿記は、情報が整理された問題用紙とペンで進めます。でも実務で渡されるのは、茶封筒に入った大量のレシートや請求書、納品書、クレジットカードの明細です。それを読み解き、お客さんのビジネスモデルと証憑から取引を読み取ったうえで、簿記では勉強していない消費税や法人税の知識を使って仕訳を作っていきます(仕訳を作る段階で主に必要になるのは消費税です)。
「簿記の勉強だけでは、仕訳ひとつ作れないじゃないか」と驚きました。そこから、仕訳を作るには消費税の知識が欠かせないと分かり、消費税の勉強をちゃんとやるようになりました。
他に驚いたのが、会計システムです。学生が会計システムを初めて目にするのは、たいていインターン先だと思います。銀行預金という科目ひとつとっても、補助科目が何個もあります。また会計システムを取り巻く周辺システムからの連携仕訳というものがあり、こうした自動で入る仕訳の仕組みは、記事「会計事務所インターン初日の驚き。仕訳の7割は自動生成」で解説しています。
最初はシステム面でも、面食らうことばかりでした。
見たことのない勘定科目も大量に出てきます。仮勘定ひとつとっても、簿記の勉強で知っているのは仮払金と仮受金くらいですが、実務ではそれ以外にもたくさんあります。個人事業主のお客さんなら、事業主貸や事業主借なんていう科目も出てきて、「なんだこれ」という感じでした。
インターンで感じたこと
大学やプライベートで勉強したことが、そのまま時給につながる。勉強したことが本当にお金になるという感覚を、ここで初めて実感しました。それがすごく楽しくて、これまでのアルバイトの中で一番苦になりませんでした。「勉強させてもらった上に、お金ももらえるんですか」という感覚で、行きたくない日は一日もありませんでした。大変だったことを思い出そうとしても、正直ほとんど出てきません。それくらい楽しかったです。
お客さんと直接話す機会も、たくさん与えてもらいました。普通に学生をやっていたら、経営者の方と話すことはまずありません。街の経済を支えている中小企業の方々からお仕事の内容を伺ったり、労務まわりのご相談に同席したり。学生ながら社会人になった気分がして、とても心地よかったです。
自分が記帳しているお客さんの営業車を街中で見かけると、「おおっ」と思ったりもしました。
そして、会社1年分のお金の流れをすべて見ることになります。会社のお金の動きは複雑です。これは座学だけやっていても絶対に分かりません。身をもってその複雑さを実感できるのは、会計事務所のインターンくらいではないかと思います。
実は私は、インターン先の事務所にとって初めてのインターン生でした。記帳業務だけでなく、巡回監査のようにお客さんと直接向き合う責任の重い仕事にも入れてもらえたのは、きっと勉強になるだろうという事務所の皆さんのお心遣いだったのだと思います。今でも心から感謝しています。
就活でどう話したか(ガクチカ)
会計事務所のインターンは、就活でとても受けがいいです。どの業界でも、会計の知識を持っている学生はうれしい存在です。それに加えて、会計事務所でインターンをした学生は財務・税務の知識も持っています。
さらに、会計事務所のお客さんにはさまざまな業界の方がいます。たくさんの業界のビジネスモデルを見ることになるので、「会計・財務・税務の面で、広くビジネスがよく分かっている学生」として就活ができます。グループワークも進めやすいですし、面接でも中身のある、がっしりした経験を話せます。ガクチカとして、すごくいいです。
今でも覚えているのは、中小企業を支援する政府系金融機関の面接です。「中小企業を支援する立場で働きたいと思ったきっかけは?」と聞かれ、こう答えました。
インターンの帰り道に、自分が記帳や巡回監査でお世話になっているお客さんの営業車が街を走っているのを見て、自分も地元の経済に貢献している一人なんだと強く感じました。ただ、会計事務所での支援は、取引が実行された後の会計面・税務面のサポートです。資金調達のお手伝いも事務所でしますが、その経営計画を詳しく審査し、お金を貸して実行に移せるようにするのは金融機関です。未来の経営計画に向けた支援を、お金を貸し出す立場でもやってみたいと思いました。
この答えには、はっきり手応えがありました。インターンで見た具体的な場面があるからこそ、志望理由に説得力が出たのだと思います。
銀行と事業会社の就活
就活では、事業会社の経理採用のコースを中心に受けて、銀行も結構受けました。会計業界を志望していたので、事業会社の経理採用を受けるのは自然な流れでした。銀行は会計業界ではありませんが、融資先の貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)を読む必要があるので、会計と密接に関わる業界です。それに当時は「半沢直樹」の影響もあって、銀行にも行ってみたいと思っていました。(なんて単純なやつ…)
銀行では、メガバンクの本店配属のコースからも内定をもらいました。銀行でも、会計事務所での経験は会計の知識が実務レベルであることの証明になるので、歓迎されます。事業会社の経理採用であれば、会計事務所での経験はまさに入社後に必要なスキルそのものなので、当然とても評価されます。
最終的には、事業会社の経理に就職しました。働き始めてすぐにインターンの経験が生きました。請求書や領収書、納付書といった書類を見慣れていますし、会計システムも触り慣れています。スタートダッシュは完璧でした。やっていて本当によかったと思いました。
もちろん、インターン先の事務所にそのまま就職するのも全然ありです。即戦力そのものですから。その道については、インターン先の事務所にそのまま新卒で就職した船が、自分の体験記で熱く語ってくれるでしょう。
インターンを迷っている学生へ
会計業界に進みたい人はもちろん、銀行など会計業界以外に進みたいけれど会計の実務に興味がある、という人にも、ぜひ会計事務所のインターンを経験してほしいと思います。勉強はそれなりに必要ですが、かけがえのない経験になります。
採用される前に、ぜひ消費税の基本を勉強しておいてください。消費税法の検定(全経の消費税法能力検定の3級や2級)を取っておけば、1日目から活躍できるのは間違いありません。消費税法の検定を取って、ACTインターンの解説記事も読んでから採用されたら、もうスーパーインターン生ですよ。